「エンジニアである前にビジネスマン。」寄り添い思考で好循環を作り出すマネジメントの極意とは
今回は、久々のエンジニアインタビュー。
エンジニアの中でも【究極の寄り添い型エンジニア】と定評のある、あの方について根掘り葉掘り聞いてみました。
プレイヤー思考な前職時代
広報担当:田中さんはログリー入社前もエンジニア職をされてたんですか?
田中:はい、新卒入社した金融系のSIerでシステムエンジニアを9年していました。基本スーツ着用の硬めな会社でしたね。
規模が大きい会社ということもあったからか、マネジメント寄りの人間が7〜8割程度、残りが実際に手を動かす人間という感じで、私はほとんど後者側。最後の1年間だけマネジメントっぽいことをしていました。
広報担当:「田中さん=コミュニケーション・マネジメント」な人という印象を持っているのですが、以前の会社では圧倒的にプレイヤーだったんですね!
田中:そうなんですよ。前職では都内近郊ではありましたが異動もかなり多く、その度に一緒に働く方たちが変わるということ、また、マネジメントしてくれる方がたくさんいらっしゃったということもあり、コミュニケーションという点ではあまり意識してなかったです。もともと人見知りでしたが異動の度に自己紹介をしたり歓迎会を開いていただくことが当たり前になっていたので、自然と改善されていったのはよかったです(笑)
転職前の最後のポジションがマネジメント側だったので、そのあたりのタイミングからコミュニケーションやマネジメントのことを意識するようにはなりましたね。
採用担当:正直なところ当時はプレイヤーとマネジメント、どちらの方がやりやすかったですか?
田中:うーん、プレイヤー側ですかね。前職でマネジメント職に就くまでは集中できる環境が心地よかったですし、自分が手を動かせばそれでよかったのでぶっちゃけ楽でした。
前職のシステムエンジニアの諸先輩方が、ものすごく喋りがうまい且つ経験豊富な方が多かったという影響もあったのかなとは思います。自分の出る幕じゃないなというか、その役割を果たしている方々が充分にいたので、自分は自分の職務を全うしよう、と。
広報担当:大学時代からエンジニア職に就きたい!という願望が大きかったんですか?
田中:うーん… 私は情報系の学部だったのですが、研究室の先輩もみんなシステム関係の会社に就職していたということもあり、「どうしてもこれがやりたい!」というよりかは「自分がご飯を食べていくにはこれが適してるよね」という考えでした。
広報担当:温厚な性格とは裏腹にリアリストなんですね!
ログリー入社の決め手はCTOだった
岩崎:そんなリアリストな田中さんが転職しようと思ったキッカケってなんだったのでしょうか?
田中:実は、転職前の現場で一番触ってたのはExcelとOutlookでして…もっと手を動かして開発したいという思いから転職を決意しました。
最終的にログリー含む2社から内定をいただいていたのですが、CTOである井口さんとの面接でログリーへの入社を決意しました。
広報担当:具体的にどういったところが入社の決め手になったんですか?
田中:井口さんとの面接は、コーディングテストという実技試験を含む選考だったのですが、新卒のときも含めてこれまで受けてきた会社のコーディングテストと全く違っていたんですよ。
他の企業さんだと、課題に対して「なにも見ずに・調べずに書いてね」と言われて、ひとりでホワイトボードや紙にプログラムを書いていく形式が多かったのですが、井口さんとの面接のとき私の場合はパソコン1台だけ渡されて「ググっても質問しても相談しても何してもいいから、今から言うアプリをつくってみてください」って言われたんです。
結果、ググったり質問したり相談したりしながら1時間半くらいかけてつくったんですけど、そのおかげでログリーで働いている自分自身の姿がリアルに想像できて…
採用担当:実は、井口さんはコーディングテストのことを裏で簡易インターンと呼んでいるくらい、お互いに仕事をしている様子が想像できるように普段通りに接するようにしているって聞いたことがあります。
田中:実際のところ、やっててすごく楽しかったんですよね。今思い返しても、あの時の面接は普段仕事してる井口さんそのままだなって(笑)
「あの面接を経て入社された方とは絶対にうまくやれそうだな」という確信もありましたし、井口さんをはじめとした人事・役員・社長とお話しさせていただいて「ログリーで働きたい」という想いが強くなり、入社を決意しました。
価値観の変化が自身の弱みを圧倒的な強みに変換
広報担当:入社してから2年、今は開発グループの主任として技術開発やチームマネジメントに携わっているかと思いますが、具体的にどのようなことをされていますか?
田中:現状は、
- LOGLY liftの開発/保守/運用
- 既存機能のバグ改修
- 新規機能開発
- 媒体サイトのクロール運用
- LOGLY liftに関する問合せ対応
- その他雑用
などなど、【開発要望したフロントサイドの方と要件調整しながら進める案件】が多いです。
前職は受託開発の会社だったということもあり、「システムをつくったらお金がもらえる=システムをつくる」ことだけが価値提供だと思っていたんです。
でもログリーでは、ビジネスモデル上というところもありますが、システムを開発したからといってそれが直接的な売上になるわけではないですし、つくったものが使われてはじめて売上になっていくわけなので、会社への価値提供の仕方を変える必要があるなと思いました。
採用担当:開発やものづくり以外のところでも価値提供を感じられるようになった、ということですね!
田中:コミュニケーションやマネジメントへの意識を高めることによって、エンジニア採用のお手伝いや、チーム内外ののコミュニケーション活性化など、巡り巡って会社のためになることもたくさんあるんだなと。
こんなこと言っていいのかわからないんですけど、私、自分のことを技術でばりばりやっていけるエンジニアだと思ってないんですよね。ログリーに入社して半年くらいでそう感じたんです。ログリーの諸先輩方は、技術が本当に好きで楽しくてどんどん自主的に覚えて成長していく人・新しい技術に対してとてつもなくワクワクする人・兎にも角にも技術が好きな人が多くって。自分とは成長スピードが違いすぎて、「これは僕には無理だ、この人達には及ばない」と(笑)
これまで積み上げてきたものの違いなどもあるかとは思いますが、自分だと思い至らない解にいつも辿り着く人は根本的になにかが違うんだろうなと感じたんですよね。
それであれば、開発だけじゃなくて総合的に会社のためになることを実行していくポジションを創り上げていく方がいいんじゃないかなと。結果として、自身のキャリアの方向性にも合っているなと感じたんです。
岩崎:一概にエンジニアといえどもいろんなタイプのエンジニアがいらっしゃると思いますし存在するべきだと思うので、総じてすごく素敵だなと思ったのですが、純粋に今の話を聞いていて「自分はダメだ」と自己嫌悪に陥らないのがすごいです… そこから自分はどう貢献していけばいいんだろうと考えてちゃんと実現させているのが素晴らしすぎます…!
田中:ダメだと思ってそのままにしてたら、ご飯食べていけないですからね(笑)
めまぐるしい環境の変化が強みをより加速させる
広報担当:リアリストな田中さんだからこそ、いかなる時も「今こういう状況だからこういう風に動かないと」と冷静な判断をされてきたのかなと思うのですが、ログリーに入ってからそれが覆るような出来事ってありましたか?
田中:入社して1年少し、そろそろ慣れてきたなというタイミングで、先輩エンジニアたちの怒涛の異動・育休・退職ラッシュがあり、突然開発グループ内で自分が一番の上の立場になるということがあったんです。当時3人体制だったのですが、他の2人は1年目と2年目の新卒社員だったということもあり「とにかく自分がしっかりしなきゃ」と思っていました。
最初はどうなることやらと思っていましたが、いざやってみたらそんなにつらくなかった、というのが正直なところです。
というのも、1年目2年目の2人が入社したばかりだったにも関わらず、ものすごく頼れる存在になっていて… 本当にありがたかったです。
採用担当:開発グループのメンバーってひとりひとりが主体性を持っていますよね。「自分たちがやるしかない!!」みたいな… 当事者意識、素晴らしいです。
田中:うーん、どちらかというと自分も含めてみんな抱え込まないように、困ったらすぐ相談してねと声をかけたり、仕事してる状況をSlackのtimesに連投するようにしてもらってラフに進捗状況を確認したり…
田中:また、ビジネス的観点からの要望・要求に対する拒否反応をあまり持たせないようにしていました。ビジネス側のことを理解していくと仕事をしやすくなるということは薄々感じていはいたので、そちらの方向に意識を持っていくようにしていました。
田中:この背景としては、「なにかをつくってください」という要望がきた時点で、課題感が見えづらくなっているということが多々あったりするなと思っていて…
よくある開発要望の例として、
・ビジネス側で困ったことがありました
↓
・その困ったことを解消するにはここにこういうボタンがついていた方がいいと思います
↓
・なのでここにこういうボタンをつけてください
ということが挙げられるかなと思うのですが、こういう開発を繰り返していくと、「実は別にもっといい解決方法があったんじゃないの?」と開発をしながら思うことがそれなりにあったりして…
多少時間はかかるかもしれないけど、課題感を伝えてもらうことがなによりも問題の根っこに対処する方法を考えやすいんですよね。それもあって、MTGから参加させていただくと「今こういうことに困っている」という話から聞けるので助かるんです。
マネジメントの鍵は弱さを見せることにあった
岩崎:田中さんがチームメンバーを見る上で意識されていることってありますか?
田中:そうですね…
- あんまり手を出さない
- 糧になる経験が積めるように采配
- 負の雰囲気を警戒する
- 入社年次や年齢関係なく接する
- 強がらない
このあたりは意識するようにはしてます。
田中:私だからなのかどうかはわからないのですが、新卒社員の課題図書にもなっている『Team Geek』の「弱さを見せることがチームの強さに繋がる」という話に感銘を受けまして、これを実践するようには心がけています。
不安点やわからないところ・苦手なこととかもほぼプライドゼロな感じで、バンバン後輩に聞いちゃってます(笑)
そうすることで、わからないことや困っていることを外に出すのが恥ずかしくない、むしろ当然だという空気をつくるようにしていますね。
採用担当:とはいえ、肩書とかがついちゃうとどうしても自分は偉いと認識違いしてしまいがちじゃないですか…! 田中さんはそういうのが一切ないですよね。
田中:昔の上司に「肩書なんて役割が違うだけで偉くもなんともない」と言われてきていたので、ずっとその考えが染み付いているのかもしれないです。
採用担当:田中さんを謙虚だなと思うもうひとつの理由として、基本的に相手を否定しないですよね。できる方法を見つけようとしてくださる姿勢にいつも救われます。
田中:たしかに、否定することがあったとしても人ではなくて「方針」や「論理」に対して否定するようにしていて、「人格」とは切り離すようにしていますね。
あと、堂々と否定できるほど自分自身がまだそこまで情報を持てていないよなと思う部分もあり。自分の知らないところで否定に至らないような理由があるんじゃないかと思ってしまうんですよね。優柔不断なのかも(笑) 否定するとしても、少なくともその不安材料を潰してから否定するようにしています。
採用担当:素晴らしい発想だと思います! 逆の方もいると思うので…
田中:社会人1年目くらいのときに言われたのが「まず自分を疑え」という考えで、それが根本にあるんですよね。自分を3回くらい疑ってからはじめて周りや環境を疑おうと。自分が思い込んでいることに囚われないように日々意識しています。
エンジニア視点があるからこそ組織に貢献できる、その先にあるものとは
田中:そうですね…
- エンジニア組織を今以上に良くしていきたい
- もっと若手育成に力を入れたい
- 開発だけでなく組織や仕組み作り・採用などにも関わりたい
このあたりは強く思っています。
今私がいる立場や環境で、自分が成長しているなと感じている且つ代表の吉永さんがよくおっしゃっている「個人の成長と会社の成長がリンクする」というところでいうと、その場所が育成だったり、組織づくり・仕組みづくりのところなのかなと思っているので、そのあたりに力を入れていきたいです。
インタビューされた人
田中 玄伍 lift事業部 開発グループ 主任
カレーを食べ歩くのが好きなソフトウェアエンジニア。
清流が流れる田舎でのんびり暮らすのが夢。
-編集後記-
お話をお伺いしていて感じたのは、とにかく昔から素敵な方々に囲まれていたということ。その方々からの教えが今の田中さんに蓄積されていて、田中さんの良さがさらに引き出されているんだなぁと感じます。いい人のまわりにはいい人が集まると言いますが、これ本当にそうですね。そして常に冷静且つ現実的な判断がすべてをポジティブに押し上げている。田中さん、ありがとうございました!